ベンゲット州教育支援プロジェクト支援

フィリピン北ルソン山岳地帯の教育支援のお願い

NPO法人サルボン(SALUBONG)の今泉です。コロナ禍で日本中大変な最中にフィリピン国際支援のお話をさせていただくことをお許しいただきたいと思います。

サルボンは、旧日本軍が米軍と戦争をするために出兵し結果的に多大な被害を与えたフィリピン、北ルソン山岳地帯を中心に、25年間国際支援、国際交流のボランテイア活動を行っています。この地域は敗戦時におびただしい数の日本兵の死体で覆われ、白骨街道と言われた山岳地帯です。

この度サルボンと共同で活動してくださった地元の社会活動団体イヤマン(IYAMAN Inc.)から、ロックダウンと学校閉鎖が続くベンゲット州の子供たちにネット環境とリモート学習機材支援の依頼がありました。どうかご理解ご協力を頂けますよう、お頼み申し上げます。

サルボンは皆様からの寄付全額を現地に送金し、後日希望される方にイヤマンからの報告書を翻訳しお送りします。支援の詳細は以下の通りです。

イヤマンの代表クリスティーナ S. アバンさんは山岳地帯へき地、ベンゲット州, バクン,シナクバットの出身です。すべての学校を特待生として卒業し、同時にキリスト教系社会活動団体に所属し、大学で神学哲学の教授として教鞭をとった後、現在は自身が主催するNGOで山岳地帯の村々の医療や教育を支援する社会活動に専念されています。昨今ドイツの篤志家から基金を託され4階建てのビルを建設しましたが、新型コロナのパンデミックに見舞われてしまいました。

この山岳地帯には多くの少数民族が住み、イヤマンのあるラトリニダッドには山から出てきた多くの貧しい山岳民が住んでいます。このイゴロットと言われる山岳民は、キリスト教化が遅れた未開人と下げすまされ差別されました。終戦時に日本兵の白骨街道だったこともあり、山岳地帯は今だに開発の遅れた地域です。隣のバギオ市は富裕リゾート地として栄えていますが、そこから山岳地帯に入ると鉱山労働者と小作農中心の貧しい地域が続きます。

フィリピンでは昨年の3月からパンデミックが続き、山奥の村でも医療設備がないという理由で外出禁止です。買い物も村ごとに週一日のみという厳しい規制が続いています。学校教育はリモート授業を推奨していますが山岳地帯では機材もなくできません。フィリピンの低地の学校ではPCを使い、町にはネット環境もありますが、山岳地帯にはありません。したがって現在学校教育が全く中断してしまったわけです。

そこでイヤマンではまずイヤマン事務所の広いフロアをリモート授業の拠点にすべく教員用の大型PCと生徒用の廉価なPCセットをそろえてリモート授業の体制を整えていこうとしています。そして徐々に離れた村々へも敷設していこう、という考えです。どうか皆さんのご理解ご協力をいただきたく、お頼み致します。

NPO法人サルボンは無給スタッフによる最小経費での特定非営利活動法人です。皆様のご理解ご協力をお頼み申し上げます。


NPO法人サルボン代表 今泉光司

〒111-0041東京都台東区元浅草4‐8‐5

電話03‐3843‐0876、lubongbaguio@yahoo.co.jp


イヤマンの寮にお住いだったある邦人支持者の現地報告

(2020年11月に帰国)


観光業が蒸発してしまい、長距離バスが全部ストップしています。ホテルやお土産物店は全部シャッターを閉め、従業員は解雇されています。先月からバギオなどはまた厳しいロックダウンを始めました。隣町に行くのに役場に行って理由等を聞かれ、許可証をもらわなければならなくなりました。学校は小学校から大学まですべて閉鎖されています。ネットを使った授業をしているのですが、ネットを持っていない人も多く、そもそもネット回線がないところが多いです。農業はコメの流通だけは何とかしているのですが、野菜などは、輸送業者に感染者が出ると輸送業を止めてしまうので、トリニダッド(野菜市場のある町)に来た野菜が売れず、ただで配っています。

来年税収がなくなったら政府はどうするのでしょうか。来年の台風や災害で出す予算は全くなくなるのではないかと心配です。密になる事を防ぐために、バランガイ(村)ごとに市場に行く曜日が決まっており、私のところは火曜日だけ買い物に行けます。他の曜日に行ったら警察官に追い返されます。住民はマスクとフェイスガードが義務づけられています。学校の様子ですが、全部しまっており、民間の学校は部屋を貸し出し始めました。学生はオンラインで授業ですが、ネットカフェに行ける子はいいですが、金がないと何もできません。山奥の町も厳しいロックダウンをしています。理由を聞いたら、病院がないので、感染者が出るとどうにもならないからだと言われました。酒の売り買いは3月から禁止されており、飲み屋は全部しまっています。カラオケや夜の店も3月から全部しまっています。来年はいったいどうなるのでしょうか。


NGOイヤマンの北ルソン学校支援金をお送りくださった皆様へ

お礼と報告書


NPOサルボンは「地球で生きるために」をグランドテーマとして活動しています。1996年から、主に旧日本軍(大日本帝国軍)が多大な迷惑をかけ、終戦時にはおびただしい数の日本兵の白骨が置き去りにされていたと言われる北ルソンの山岳地帯を中心に、様々な国際理解、国際協力のボランティア活動をしております。

この度はフィリピン、ベンゲット州山岳地帯の学校教育や村の医療をサポートしている現地NGO のlYAMAN(イヤマン)からの支援依頓に応えて、皆様からご寄付(合計30万4千500円)をお寄せいただきましてありがとうございました。現地イヤマンの代表クリスティナ S. アバンさんから報告書とお礼状が届きましたので報告させていただきます。

寄付金第一回目は2021年3月9日に送料込みで25万3千円、第二回目は2021年6月9日に5万1千500円を送金しました。皆様の温かいご支援をありがとうございました。今後とも引き続き様々な活動を続けてまいりますので、どうかよろしくお頼みいたします。


NPO法人サルボン代表 今泉光司

〒111-0041東京都台東区元浅草4‐8‐5

電話03‐3843‐0876、lubongbaguio@yahoo.co.jp

以下は報告書の試訳です。


① 2020 年 11 月 21 日から現在まで、イヤマンのボランティアとバギオ シティ国立高校の教師は、ラ トリニダードの 36 人の生徒が学校の授業を達成するのを継続的に支援してきました。 彼らの両親は、毎日の仕事をしなければならないため、子供たちを教えたり助けたりすることができません。また、知識や訓練が不足している親もいます。 遠すぎたりCOVID-19の移動規制のために、イヤマンのオフィスに来ることができない小学生や高校生は、チャットまたはメッセンジャーで支援されています.

② イヤマンのスタッフは、さまざまな学校に行って授業内容のレポート(1科目6-10ページのプリント) を遠くのバランガイ(集落)の生徒に送ります。 私たちは授業内容を遠隔の村に届けるために、公共交通機関や車両を手配します。イヤマンではそれらの学習用プリントや独自に調査解説した学習資料などのコピー印刷を頻繁に行い、村々の小学生や高校生に届けます。

③ イヤマンのスタッフは、カパンガン村ボクラワンの子供たちと携帯電話(スマホ)を使って対面授業を行い、スマホで調べものをする方法やオンラインで教師や指導カウンセラーに助けを求める方法についてチュートリアルを実施しました。イヤマンは、その際にオンラインでカウンセリングや医療相談ができる、認可されたカウンセラーと医師の携帯電話番号も提供しました。

④ パンデミックが人々を怖がらせ続ける中、ルベータさんはオフィスに助けを求めに来ました。 イヤマン のスタッフが彼女をバギオ総合病院に連れて行きました。 ここはベンゲット州でCovid-19ウイルスに感染しているかどうかを検査している唯一の病院です。 彼女が Covid-19 に感染していない場合は、医師の診察を受けることができます。 彼女は薬を処方され、現在に至るまで薬を飲んでいます。

⑤ イヤマンのソーシャルワーカーは山岳民の自動車事故などの犠牲者も援助しています。 イヤマンは社会福祉開発省 (DSWD) が被害者に経済的支援を提供できるように書類を作成することで被害者を支援します。 この被害者は片足と手を骨折していて、 今日までにすでに彼の足と手にギブスがまかれています。

⑥ イヤマンはBarangay Baliliとの覚書を更新しました。イヤマンはこれからも子どもたちのモジュール (リモート授業用教材)作りをお手伝いしていきます。

⑦ イヤマンのオフィスでは、ボランティアのガイダンスカウンセラーとイヤマンスタッフによる心理療法も行われました。

⑧ イヤマンは最近、オフィスでの使用のために以下の材料/機器を取得しました。 新しいデスクトップとラップトップ (各 1 つずつ) は、オフィスでの作業に大いに役立ちます。 特にこのパンデミックの間、リモート会議が強く推奨されます。 ファイル/書類の送受信はオンラインで行う必要があります。

⑨ デスクトップは 10 年生の生徒によって組み立てられました。その生徒は仕事をすることを申し出たので、彼は自分の労働力で学費を支払うことができます。

⑩ これらのコンピューターは、ボランティアの教師や生徒が教材 (モジュール)作成や学習 で使用するだけでなく、リモート授業を通じて村の生徒を支援するガイダンス カウンセラーにも使用されています。

⑪ さらに、イヤマンは2 つの中古のキャビネットも取得しました。ひとつはシード バンク プロジェクトに使用し、 もう 1 つは学生の資料のファイリングに使用しています。 シードバンクは、山岳地帯の村の家族が消費する野菜の種を保管するために非常に重要です。